<2021年6月>

油漏れを起こしてしまった標準装着のパワステラック。当初はオーバーホールを行おうと思っていました。

でも今回は結局交換を選択することにしました。
ならばいっその事、油を使わないステアリングラックも良いのではないか!という事で、通称「重ステラック」に変更してみることにしました。
これなら今後のメンテナンスが楽になります。

しばらく探して「重ステ」ラックを入手することができました。
実際に見ると重ステラックはとてもシンプルな作りですし、少し軽く出来ているようです。

重ステラックはパワステラックと比較すると、操作が重くなるのは当然ですが、腕力のみでも回しやすいようギヤ比が違うので、切る角度が緩やかになるようです。
私はオジサンなので、免許を取得した時代はパワステが装着されていない車がたくさん走っていましたし、実際に何台も乗ってきました。ロードスターも純正でパワステレスがある車ですから問題なく運転できるのでは?と思い、こちらのステアリングラックへの変更を選択したのです。でもちょっと懸念されるのは体力が年々衰えている事を認識していない事でしょうか。

早速「重ステ」ラックを装着するため、まずは補器類を付ける準備をします。
黄色で囲ったブラケットはパワステのポンプを付けるための土台です。重ステ+エアコン車の場合、ブラケットの位置にプーリーを付ける必要があります。ブラケットを外すには、矢印のカラーの奥に隠れているボルトを回さなくてはなりません。カラーをハンマーなどで軽く叩いて向かって右にずらす必要があります。

少しずらすと隠れていた取り付けボルトが顔を出します。
そして、赤丸のボルト3本を緩めるとポンプブラケットが外れます。

外れたブラケット。
いつの日か気が変わり、パワステ仕様に戻したくなった時には必要なパーツですので、保管しておかなくてはなりません。

新たに取り付けなくてはならないプーリー。
エアコンベルトのテンション調整用プーリーになります。

取り付けてベルトを掛け、テンションを調整しておきました。
パワステポンプのプーリーと比べると、このプーリーの径は少し小さくなるので、ベルトもこれに合わせて少し小さなものが必要になります。
ここでの使用ベルト:B3C7-15-907C (純正品)

メンバーに重ステラックを装着していきます。
パワステオイルの配管が無いので、4か所の固定ボルトは簡単に固定ができます。

「NA01-32-280」
パワステラックに付いていたタイロッドエンドはおそらく新車から使ってきたものでしょう。良い機会なので新品に交換することにしました。
「N021-32-280A」はSスペシャル用?(車高が低い車用?)ということなので、今回は写真のタイロッドエンドを選択しました。取り付け部の長さが違うようです。

これは今まで付いていたものと比べています。今付いているものは製造時からのものでしょう。
新しいものと比べると若干形が変わっています。(取り付け部の形が四角になっています)

長さは同じようです。

新品を装着。
純正品ですので問題はなさそうです。

オイルの配管でゴチャゴチャしていたギヤ部分ですが、このラックではすっきりしています。

パワステパーツを外した際に、一時的に外したパーツを戻していきます。
エアクリーナーBOXを外す際にサビが気になり外していたパーツ。

サビを落としてから塗装しておきました。

キレイになると気分が良いですな。

今回の失敗。
ラックをステアリングのロッドに入れる際はきちんとハンドルの向きを合わせていたのに、組み上げて確認した時にはこうなっていました。
シャフトを入れる際にちょっと回ってしまったようです。

ステアリングラックは既にがっちりと固定しています。またシャフトを外して入れ直す事も面倒なので、ここはステアリング部分の取り付け変更で修正しました。
でもこれをやるとステアリングシャフトのボルトの位置が違う方向を向くことになります。問題は無いのか少し不安になります。

今回はタイロッドエンドも交換したのでサイドスリップから全部ずれてしまっています。
少しのズレでも走ってみると結構抵抗を感じるものです。取り敢えず、普通に走る事が出来るレベルまで適当に調整してみる事にしました。
写真の数値はそれぞれを回すための工具のサイズです。

調整時の工具。
下に潜って調整に使う工具で、12mmと17mmは良いのですが、タイロッドの四角部分のスパナがどうも手持ちの工具では合いません。

19mmでは入らず、21mmでは大きいので、工具箱にあった金属の19mmレンチの内側を広げ(赤部分を削った)、現物合わせでタイロッド専用工具にしました。多分20mm程度になっていると思われます。

少し走っては戻りちょっと調整。これを10回くらい繰り返し、ステアリング操作の違和感が一番少ないところでやめました。
感覚的には真っすぐ走るようになったのですが、念のため、近所の整備工場に行ってサイドスリップだけ測ってもらったところ、インに5mmちょっとずれているという結果でした。ギリギリ車検には通らない数値ですが普段走るにはまあまあというところでしょうか。根気よくやってみると「そこそこ」までは感覚で調整できるのがわかりました。(その後車検が通る数値に工場で調整)

重ステについて。
切れ角が少し鈍くなったけど、街乗りで走っている分には問題ない感じです。昔からパワステなしの車に乗ってきたものにとっては、こんな感じだったなというレベルです。車庫入れに関しても、車を動かしながらステアリングを切るように感覚として覚えているので、これも大丈夫。
但し、純正ステアリングより径が小さいステアリングを付けていると、操作はかなりきついと思います。

パワステポンプが無くなりすっきり。
今回のステアリングラックのメンテナンスは、オイル漏れから始まり、結局パワステの撤去になってしまいました。実のところ、交換したのはこの車のパワステのない感じを一度味わってみたくてやってみたかった!という気持ちが大きかったのかもしれません。

パワステレスには全く後悔はしていないのですが、もし今後、知り合いのパワステ車が油漏れし、それに対しアドバイスを求められたらその時は修理で直す事を勧めると思います。重ステは パーツ代(ラック代)にそこそこ費用が掛かりますし、その効果?(運転感覚の良い部分)が費用に見合わないような気がします。でも費用は関係ないという場合ならば、重ステの自然なフィーリングも良いかと思いますので、交換はありだと思います。

あとパワステのオイル漏れや管理から解放された事は良かったかな?と単純に喜んでいる私ですが、この車をサーキット等で走らせている方々のブログ等を見ると世界があまりに違い、そしてメカニズムに詳しく、ステアリングラックひとつにしても、理由が合って変更されている事については凄いと感心して拝見しております。同じ車種に乗っていながら、楽しみ方は人それぞれいろいろあるものです。